nokatachi

2025/11/07 20:12

畑の土で日干しレンガは作れるのか――その素朴な問いから始まった試みだった。
雨の中、建築家の米谷夫妻が手伝ってくれたおかげで、ようやく形にできた。ひとりでは作業が進まなかっただろうと思うと、その時間がいっそうありがたく感じられた。

日本の住まいには、古くから土壁が使われてきた。日干しレンガの作り方は、その土壁の技術とよく似ている。米谷夫妻が建築中の自邸で採用している土間と、畑で作る日干しレンガがどこかでつながっているように思えると、とても嬉しかった。

まず型をつくり、練った土をそこへ流し込んで成形する。水分が多い部分は、自重で形が崩れていく。素材としての土の癖が手触りを通してわかる工程だった。

収穫祭では、この日干しレンガが簡易竈門として活躍してくれた。しかし、完成したレンガそのもの以上に、作る過程をみんなで共有できたことが収穫だったように思う。残念ながら、収穫祭の直後に降った雨で大半が崩れてしまったが、次回つくる機会があれば、火入れまでをセットで進めたい。

繊維の材料も、今回はアスパラガスの残渣を使ったが、次は畑の脇に植えている「アオソ」という植物の繊維を使っても良いだろうし、春に採れる赤ミズという山菜も表皮には繊維が多く含まれている。課題がたくさん見えた会でもあり、次へのヒントが多く残る実験となった。