nokatachi

2025/10/21 19:51


晩秋。収穫もひと段落し、手伝ってくれた阿部さんたち、そして工藤さんと佐々木さんを招いて、ささやかな収穫祭を開いた。

夏は猛暑と干ばつがひどく、2年目のアスパラガスは病気にもなった。その対応に追われた記憶が濃く残っている。ずっと畑に張りつめていると気が滅入ってしまうので、晩夏後はときどき山にも入った。ヤマドリタケモドキを見つけたり、山栗、香りのいいクロモジの枝、ブナを採集したりした。

(次回以降は、みんなで食材を採集しておきたい)


採ってきたものは加工場へ持ち帰る。


今回の収穫祭の料理には、畑で育てた作物と、山で採集した恵みの両方を使った。

とりわけ「おこわ」は郷土料理として行事の場では欠かせない一品だ。もち米の「くっつく」性質には、民俗学的な人を結びつける象徴的な意味も宿っている。おこわは、日本人に馴染み深い甘じょっぱい味付けで栗や山菜、天然キノコなど季節の具材を加えることで、その時々の場に必要な料理になる。


天然キノコは刻んで乾燥させておいた。今回のおこわは肉を使わないで、天然キノコと油揚げ、人参、牛蒡で仕込んだ。酒・醤油・みりんを同量入れて下味をつけ、もち米を加えて水分が飛ぶまで炒りつける。布巾を敷いた蒸し器に移し、25分蒸して仕上げた。


山栗は下茹でして皮を剥く。胡桃を浸けていたお酒は鍋で砂糖を加えたが、思った以上にアルコールが強く、フランベしたとき前髪を焦がしてしまった。山栗も漬けてみたが、浸透圧の影響で食感が締まりすぎたので、次回は別の方法にするつもりだ。


猪肉は通販で取り寄せ、3年間漬けっぱなしで過発酵した味噌に漬ける。加熱して柔らかくなるよう、フードプロセッサーで細かくした玉ねぎで20分ほどマリネし、セロリと一緒に油で煮た。オーブンは100度までしか下がらないため「30分加熱→30分余熱→30分加熱」を繰り返す。指で押して程よい弾力になったら冷まして冷凍保存しておいて、当日の調理時間を短縮した。ソースは焼き玉ねぎと過発酵味噌、バターを合わせ、塩で味を整えておいた。


ほかにも、町に一軒しかないイオン系列のスーパーで牛乳と生クリームを買い、クロモジを牛乳で煮出して香りを移しながら鍋で温めた。リンゴ酢を加えてタンパク質を凝固させてカッテージチーズを作る。


家の小屋で眠っていたジャガイモは茹でて素揚げし、冷凍保存しておく。

飲み物はクロモジ、ブナ、モミを煮て山の香りのお茶にした。


当日は、家から畑へテーブルや調理器具、皿を車で運び込む。畑では米谷さんたちと作った日干しれんがのかまどを組み、枝や乾いた雑草に火をつけ炭をおこした。火の段取りに30分かかり、火力も弱かったため、持ってきた食材を焼くのに思った以上に時間がかかった。盛り付けスペースも用意しておらず、盛り付けに気を配る余裕はなかった。

(次回以降は、相談しながら場所を考えたい)


やがて阿部さんたちが到着し、ワインとブドウを手土産に持ってきてくれた。ワインとブドウを持ってきてくれたおかげで、食卓は一気に華やいだ。お酒や果物まで気が回らなかったが、持ち寄ってくれたことで場に彩りが生まれた。


ただ、「収穫祭」といっても、それはあくまで自分の中のイメージでしかなかったのではないか、とも思う。来てくれた人たちにとって、本当に収穫祭になっていたのか――そのことが少し不安として残った。


今年の反省を踏まえ、畑の管理を含めた準備を少しずつ改善していきたい。今回使った食材の栽培、かまどの拡張、盛り付け台の用意などを、日々の農作業の延長線上で整えていければと思う。